中3の甥っ子に内閣不信任決議の流れについて聞かれました^^;
公民で内閣のところを勉強してるらしいです^^;
中3で内閣不信任決議なんてやるんだーって思ってましたが、やってますよね。私が忘れてるだけですよね^^
何となくは知ってますが、中3に教えるにはしっかり知ってなきゃ…と言う事で、マジで調べてみましたのでレポートしていきますね。
中3の公民用プラス大人用に…知ってると良い、内閣不信任決議って事で解説していきます^^
目次
内閣不信任決議の流れ | まず内閣とは…
先ず内閣についてですが内閣とは内閣総理大臣と国務大臣で組織されています。
国会から内閣総理大臣が選出され、選出された内閣総理大臣がそれぞれの国務大臣を任命します。
サッカーに例えると日本代表監督が内閣総理大臣で、選手が国務大臣、日本サッカー協会(JFA)が国会ってとこですね^^;
このように『内閣』は、元をただせば『国会』から選ばれますので、『内閣』は『国会』から『信頼』されていることが前提となります。
信頼しない人を内閣総理大臣(監督)にしませんもんね^^;
で、この『信頼』が損なわれると、国会は内閣不信任決議を行うことになります。
この、内閣不信任決議は『国会』でも、衆議院のみが行う事ができます。『衆議院の優越』ってやつなのですが…なぜ衆議院のみなのかについて触れておきます。
内閣不信任決議はなぜ衆議院のみなの?
内閣不信任決議案は衆議院のみが行う事ができるかって話ですが…これは、解散があるからなのです。
後ほど詳しく説明しますが、衆議院から内閣不信任決議が出されると内閣は素直に『はい、分かりました』って内閣を総辞職するか、逆に『ざけんな!』って衆議院を解散させるという対抗措置を取る事ができます。
衆議院からすると、『衆議院の解散』となると自分の職が無くなる訳です。
自分の身を削って内閣不信任案を出す訳です。
一斉一代の決意になりますよね(^^;
職を失うか、それとも『信頼』はできないが、無職になりたくないから目をつむるかですから^^;
この対抗措置(衆議院の解散)があるが為に、その公平性から衆議院にのみ『内閣不信任決議』の権限がある訳です。
逆に参議院には『解散』がありません。
解散権がないのに参議院で内閣不信任を出すと言う事は、議員の処遇は安泰で内閣だけ総辞職になる事になるので不公平だし、『俺は辞めないけどお前は辞めれ!」って無責任に内閣不信任決議を出せちゃいますよね。
こうした理由から内閣不信任決議は衆議院のみしかないのです。
この衆議院の優越は、内閣不信任決議の他にも予算案の議決や条約の承認、法律案の再議決などがあります。
Qなんで参議院に解散が無いの?
因みに参議院解散がないの理由は、解散しない事で議員の処遇を安定させ、突っ込んだ議論が出来るようにする為なのです。
それと任期も6年と衆議院の4年に比べ長くありますので、じっくり国民の意見を聞いたり法案作りをしたりなど慎重な議論ができるようにしてるのです。
あと、衆議院が解散してる時に国会が機能しないのを防ぐ目的もあるんですよ~。
内閣不信任決議の流れ | 国会に出す前に…
で、いよいよ内閣不信任決議の流れですが、国会に内閣不信任決議案を提出する前に衆議院運営委員会に提出します。
内閣不信任決議に限らず、我々がテレビで見る国会は採決の場なんですよね。
あらかた事前の委員会で選ばれた議員で少人数で話し合い、その上で本会議(国会)で採決をとる仕組みなっています。
ですので内閣不信任決議も事前の議院運営委員会に提出します。
因みに議員運営委員会は25名います。現在の議員運営委員名簿はコチラから見られます。⇒議院運営委員会 委員名簿
この議院運営委員会には議長、副議長、事務総長の他に各会派から25名の議員が委員として出席し、本会議で行う大筋を決めていきます。
主な内容は趣旨弁明が誰が言うか。たいていは提出者です。それと内閣不信任議決案に賛成、反対の趣旨弁明など言う人の時間配分などが決められます。
実際立憲民主党から出された安倍内閣不信任決議案の議院運営委員会議事録はこちらから見られます。
⇒第196回国会 議院運営委員会
こうして事前に委員会でもまれその後、本会議にかけられます。
因みに内閣不信任決議の提出には衆院議員51人以上の賛成を集め(発起者含)る必要があります。
以下引用
衆議院規則第28条の3
議員が内閣の信任又は不信任に関する動議若しくは決議案を発議するときは、その案を具え理由を附し、50人以上の賛成者と連署して、これを議長に提出しなければならない。
内閣不信任決議の流れ | 国会に出されると…
内閣不信任決議案はとっても重要な議案なので本会議に提出されると、最優先で審議される事になります。
ですので委員会での法案審議は全て中断することになります。
衆院本会議では内閣不信任決議案に対して賛成、反対の討論が行われ、多数決を取ります。
採決の結果、出席議員の過半数の賛成で内閣不信任決議が可決するという事になります。
逆に過半数に満たなければ内閣不信任決議案は否決となり、現内閣は継続することになります。
因みにこの時の多数決は記名方式なので、裏切りは許されません(^^;
与党なのに内閣不信任に賛成したりして、万が一否決されればかなりの報復を受ける事になるからです(^^;
内閣不信任決議の流れ | 可決後の流れ
内閣不信任決議案が衆議院で可決されると内閣は10日以内に内閣を総辞職するか衆議院を解散することになります。
衆議院を解散した後は再度衆議院を選び直す総選挙が40日以内に行われます。
衆議院総選挙後30日以内に特別会が招集されます。会期の冒頭に議長・副議長・常任委員長の選挙など議院の構成を決め内閣総理大臣の指名選挙が行われます。
内閣不信任決議が過半数を超えた事はあるの?
内閣不信任決議が過半数を超えた事は内閣不信任決議は過去に4回ありました。
1948年第2次吉田茂(よしだしげる)内閣
吉田茂首相の『なれ合い解散』が行われました。当時は『内閣』に解散権がるのか、はっきりしていなかったので与野党で話し合って内閣不信任案を可決しその後シナリオ通り吉田首相は衆議院を解散します。
これがなれ合い解散と言われるゆえんです。
因みにこの後『内閣』に、内閣不信任決議が無くても衆議院を解散できる事が認められました。
1953年第4次吉田茂(よしだしげる)内閣
「バカヤロー解散」と言われているこの解散は当時4期目の吉田茂首相が衆議院予算委員会で「バカヤロー」と発言し与党だった自由党に造反議員が出て内閣不信任案賛成も回り可決され吉田首相は衆議院を解散しました。
1980年の第2次大平正芳(おおひらまさよし)内閣
当時与党だった自由民主党内で対立があり主流派と反主流に分裂していました。そんな中当時の社会党から大平内閣への内閣不信任決議案が提出されるのですが、自民党反主流派69名が衆議院本会議を欠席し、賛成243票、反対187票で内閣不信任決議案が可決されます。
1993年宮沢喜一(みやざわきいち)内閣
政治と金に対する国民の批判を後押しに社会、公明、民社3党提出による内閣不信任決議案が衆議院本会議に提出され賛成255票反対220票で可決されました。政府は稟議閣議を開き衆議院の解散をしました。
その後の総選挙で自民は過半数を取れず1955年以来続いた55年体制が終わり野党になりました。
内閣不信任決議の流れ | 中3公民で抑えておきたいポイント
内閣不信任決議 流れについて解説してみました。
中3公民で大事なポイントを整理してみますネ。甥っ子にもここを重点的に教えました。
内閣は国会の信任に基づいて成立しているので、内閣の行う行政が信頼できなければ衆議院は内閣不信任決議」を行なうと言う事。
つまり国会の信頼が崩れた時に内閣不信任決議が出されるという事。
あとは決議が通ったときに内閣が取る行動の日数も大事なポイントです。
『内閣不信任決議可決されたら10日以内に総辞職するか衆議院を解散するか。』の、10日以内とか、『衆議院解散を選ぶと40日以内に総選挙を行う。』の、40日も大事だし、『30日以内に特別国会を開き内閣総理大臣を指名する』と言う所の30日以内も大事。
中3公民ではこの衆議院解散から新内閣総理大臣の指名までの日数をしっかり覚えておくことが大事です。
内閣不信任決議の流れ | 大人が抑えておきたいポイント
中3公民は仕組みを覚える事が大事ですが、大人はもうちょっとディープな政治ネタで内閣不信任決議を抑えておきましょう。
ここまで解説したように内閣不信任決議は国会(衆議院)から出されます。
でもちょっと考えたいのが、その国会(衆議院)は与党が大多数な訳ですよね。
で内閣不信任決議は野党から出る訳です。この野党って『何考えてるんだ』って思いませんか?
だって理屈の上では内閣不信任決議なんて絶対可決しませんよね。与党が多数な訳ですから…。
なのになぜ野党は負け戦をするのかって話しです。
実は大事な法案を審議させない為と言われているのです^^;
前述したように内閣不信任決議が出されると最重要議案として他の議題を差し置いて審議します。
つまり野党にしてみれば、絶対通したくない議題などがある場合に内閣不信任決議案を出して阻止する事ができるのです。
ただ、こうした事が頻繁に起きては困るので内閣不信任決議は会期中に1度しか出せないルールになっているんですけどね~。
こうした事も内閣不信任決議案のひとつの側面なんですよ~。
内閣不信任決議の流れについてまとめ
いかがでしたか?内閣不信任決議 流れについて解説してみました。
決議が案として委員会出され、国会で可決しその後総辞職するまでの流れを分かりやすく解説してみました。
いろいろ脱線しましたが^^;なんとなくご理解いただければ幸いです。
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